最近のクイズ番組やドキュメント番組等で世界遺産を取り上げられる機会が、
年々増えている気がします。もしくは私がこのキーワードに反応しているだけなのかもしれませんが。
という事で今回は一応世界遺産検定1級の資格を保持している一人として取得に至る体験談を書いてみます。
世界遺産とはどういったものか一言で簡潔に言うと、
「人類共通の財産」
公式からの引用では、
”世界遺産とは、1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき「世界遺産リスト」に記載された、「顕著な普遍的価値」をもつ建造物や遺跡、景観、自然のことです。 「顕著な普遍的価値」は、どの国や地域の人でも、いつの時代のどの世代の人でも、どのような信仰や価値観をもつ人でも、同じように素晴らしいと感じる価値のことで、そうした価値をもつ世界遺産は、人類共通の財産”といえます。
地球に誕生した人類が後世に残したいと気づいた大切なもの。形あるものもあれば絵や文字。風習や景観。
そして人類の忘れてはいけない過ちの象徴。
これれらをひっくるめたものが世界遺産なんです。
これはある意味ちょっとした意地みたいなものなんですが、とある俳優の方が1級の資格を持っていらして、番組企画で行ってみたい世界遺産に実際訪問されていたのですが、なぜかその時に羨望と一方的な競争心のようなものに目覚め、自分も挑戦してみようかという気になったのが始まりです。
もう一つは海外旅行に行くようになってから、ガイドブックや雑誌等にしばしば見かけるキーワードだったので興味を持てたというところです。
何かに挑戦するきっかけは些細なことで突然にやってきます。
勉強するにあたり公式HPを確認しスケジュールを立てました。この辺りは現在の状況を鑑みて最新情報を取得されますようお願いします。
以下簡単な概要です。
申込期間: 年に4回開催。私は2015年3月・7月に受験しました。
申込方法: インターネットか郵便局。マイページ登録必須ですがネットは便利です。
受験料: 1級:9,900円 2級:5,900円 (税込) 取得級により金額は変わります。
試験時間: 1級:90分 2級:60分
合格通知: 試験から約1カ月半後。認定者には認定カードが同封です。
※注意事項 1級以上の方は顔写真が必須です。
勉強期間は半年ぐらいです。検定日を決めたらそれに向かってひたすら勉強です。テキストは重いですが移動時間や休日は集中するなど、日課にすれば自分に喝が入れられます。
目標は1級でしたが、どんなものか知る為に2級のテキストから覚えることに挑戦してみました。
世界遺産検定を運営している 世界遺産アカデミーから出版されているテキストです。
自分の受けるレベルでテキストは購入するのが前提です。
1級のテキストを購入してしまえば全て網羅しているのでOKなのですが、
2級の範囲は300件の中から出題の為、買わざるを得ません。
2級出題範囲 : 日本の全ての世界遺産と世界的に有名な代表の300件
1級主題範囲: 私が試験を受けた当時2015年7月の件数全部
問題集: 過去の試験問題がそのまま問題集になっているものです。これで出題形式が分かります。
これについては当時いろんなサイトをネットで検索しましたが、私が行った方法。
1.最初はテキストを最後まで読破
世界遺産はカテゴリーがいくつかあります。1級の場合テキストは上下で2冊です。
上巻→「日本の世界遺産」「アジアの世界遺産」「オセアニアの世界遺産」
下巻→ ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸
さらにその中でも宮殿と庭園、古代文明、宗教信仰関連遺産、自然の景観美など細かく分かれています。歴史やアート作品関連に興味がある方なら、かなり覚えるのが有利になると思います。
2.テキストの赤文字&太字になっているキーワードと欄外を覚える
学生時代からのお約束です。必須キーワードなので覚えます。書きながら唱えます。この勉強法は有効です。忘れていてもふとした事で思い出せますよ。
3.各国の王朝歴史を年代順に頭に入れる
これも例えば頭文字だけでもよいので覚えます。自分でストーリー仕立てに覚えたり簡単な年表にしてみるのもありです。
4.問題集を解く
試験月の一か月前ぐらいから本番に向けて出題形式に慣れる為です。マークシート方式なのですが、問題を読み間違えないようにする為にも最低2回以上は解いておくことをお勧めします。
時間を計ってトライすると本番さながらです。
5.関連のTV番組や動画を見る
毎週日曜日18時からTBS系で放送されている「世界遺産」。こちらは30分の中に実際の場所とその遺産のポイントを解説してくれるので、すんなりと知識習得ができる強い味方となるでしょう。
私も毎回録画してますが、どうあっても行ける確率が低い場所や特別許可された場所等を高性能カメラを通して放送してくれるので、かなり素敵で楽しめます。
おそらく一回観ただけでも印象に残るので、覚えようとして力まず気楽に観ましょう。
あとはYouTubeなどで検索すればヒットしますので自分にあったチャンネルをご覧になるも手段。
UNESCO公式チャンネルもありますが、どちらかというと教授による講義のような感じなので、個人的な意見ですが、とにかく覚える事優先の段階では不要かと。全て英語ですし。
試験会場は地域によりまちまちだと思うのですが、私は専門学校の一室でした。
年齢層は幅広く、個人で受験なので周りはそこまで騒がしい気はしませんでした。
試験中ポイント
試験時間は思ったよりあっという間なので、答えに迷いが生じたら後回しにし、最後まで行きつくことを前提にしましょう。時間より早めに終わる人もいますが気にせずマイペースが一番。
正直なところ日常の中で何かものすごい変化は起りません。ただ、どんな資格でもそうですが、資格があるだけで見られ方が違う場合ってありますよね。そういったことはありましたが、所詮は自己満足です。
では得るものは無いのか?
答えはNOです。
私にとってこの資格を取得し気が付いたもの。
それはこれまで見てきた建造物や町に対する見方の意識が変わった事と、世界の国々に関する興味が格段に上がりました。いわゆる視界が開けたとでもいうのでしょうか。
例えば宗教的な争いはなぜ近代まで続いて来たのか。世界遺産を通してその経緯を知り、彼らが守りたいものが見えました。
そして争いによる主義主張ではなく、お互いの価値観を認め合って平和的な歩みを目指して行く道が見つかることを願うようになりました。
広大な草原・大地や山々。その現地の原語名を知ることで、本来の意味や響きの美しさに深い感動を得ました。それらを知ってしまったら、いわゆる後から広まった通称名は言えなくなります。
よく映画でこんな場所あるの?という所は本当にありました。
有名になりすぎるとストップがかかりますが、地球にはまだ人類が知らない謎がちりばめられています。
広大な海の真ん中に緑豊かな無人島が形成された理由を知り、そこには貴重な固有種が生きていて、決してその領域を壊してはならない自然の遺産。
何百年もかけて動植物がお互いの生きる術を見出し、育んできた奇跡に感動しました。
その一方で今まで観たり聞いたりしたことのある観光名所が、決して忘れてはいけない壮絶な過去があった跡地という衝撃の事実も知ることになり、その場所に対する畏敬の念を抱くようになりました。
繰り返しになりますが、世界遺産を知ることは自国を改めて知る事に繋がり、世界各国の歴史や建造物、自然、動植物などを壮大なスケールで見られるようになる事は間違いありません。
それはとても人生を豊かにする気がしますし、もし追いつめられるようなことが起きた時、現状を脱却するポシティブな思考に導いてくれる気がします。
勿論反対に知らない方が幸福という考え方もご尤もなので、これは個人の意志にゆだねられます。
世界遺産の数は毎年増えていきますので、資格を取ったからと言って、そこで安住していられません。新たな登録の誕生をこれからも追いつ続けていこうと思います。
この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。